遺産分割とは?

被相続人が死亡すると、同人名義の遺産は、原則として相続人間で共有となります(民法898条1項)。この相続の原則には、特別な手続があるわけではありません。被相続人が死亡すると、法律上当然にそのような法律関係が生じるのです(民法882条)。しかしながら、財産の共有状態というのは使い勝手が悪く、各相続人が自分だけの考えで財産を自由に処分をすることができません。そのため、遺産の共有状態を解消し、それぞれの遺産の帰属先を決める手続が必要になります。この手続のことを「遺産分割」といいます(民法906条)。

遺産分割は、すべての相続人が合意しなければ成立しません。遺産分割のための話し合いのことを「遺産分割協議」と呼んでいます。すべての相続人が合意すれば、どのような財産の分け方であっても構いません。例えば、極端な話をすれば、ある相続人にすべての財産を取得させたり、またある相続人の取分をなしにしたりしてもよいのです。もちろん、一般的には、すべての相続人にとって公平な方法でなければ合意を得ることはできません。

相続人間で財産の分け方が決まり、その方法を書面にしたものを「遺産分割協議書」といいます。銀行で被相続人名義の預金を払い戻したり、法務局で相続の登記をする際には、遺産分割協議書があれば手続がスムーズに進みます。遺産分割の手続が終わると、遺産は相続のとき(被相続人の死亡時)にさかのぼって効力が生じます(民法909条)。相続開始のときから、その財産が遺産分割されていたものとして扱われるということです。

遺産分割とは何か

遺産分割協議がまとまらない場合は?

誰にどの財産を取得させるのかについて相続人間で意見が対立して話し合いができない場合、相続財産の範囲について意見がまとまらない場合、相続人の範囲について意見がまとまらない場合、そもそも相続人が所在不明のため話し合いすらできていない場合など、遺産分割の協議がまとまらないことは珍しくありません。遺産とは関係のない相続人間の人間関係が話し合いを妨げる場合もあります。

遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に対して「調停」の申立てをするのが一般的です。調停というと大変な手続のように感じるかもしれませんが、簡単な申立書に必要事項を記入するだけで誰でも簡単に申立てができます。調停期日では、調停の当事者となった相続人が交互に調停委員から呼ばれ、原則として対立当事者と顔を合わせることなく意見調整が可能です。調停委員(基本的に男女2名)という裁判所から委託を受けた専門家が、中立的な立場から話を聞き、当事者間の対立を解きほぐす手伝いをしてくれます。

なお、調停が成立しない場合には、当事者が望めば「審判」という手続に移行し、裁判官が遺産分割の方法を決定することになります。

当事務所の遺産分割サービス

1.遺産分割の前提となる相続調査

遺産分割の方針を決めるため、①相続人の範囲、②相続財産の範囲、③遺言書の有無、④特別受益の有無、⑤寄与分の有無などを調査します。これらの調査は、すべての相続人が納得する公平な遺産分割を実現するために必要不可欠な手続です。これらの調査が不十分なままでは、後から紛争になる可能性があります。

2.遺産分割の方針策定

相続調査の結果に基づき、遺産分割の方針を策定します。遺産分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び性うかつの状況その他一切の事情を考慮して行うものとされていますが(民法906条)、依頼者様のご意向を踏まえた上、他の相続人にも納得していただけるような公平な分割案を策定致します。

2.他の相続人との交渉

依頼者様の代理人として、他の相続人に遺産分割案を提示し、遺産分割に合意していただけるよう働きかけを行います。他の相続人が不満を感じないよう、資料を開示し、透明性と公平性の高い提案をすることが必要になります。他の相続人からの問い合わせがあれば、ひとつひとつの疑問に対して丁寧に回答いたします。

3.遺産分割協議書の作成

すべての相続人が遺産分割案に合意いただける場合には、遺産分割協議書を作成します。形式に不備のある遺産分割協議書では、金融機関や法務局において手続が進められません。また、内容に不備があっては、後から相続人間で紛争が起こる可能性があります。弁護士が監修した遺産分割協議書であれば、そのようなリスクを可能な限り排除することができます。なお、リスク排除という点では、遺産分割協議書を公正証書にするという方法もおすすめです。

4.遺産分割調停の対応

他の相続人との間で遺産分割協議が進まない場合には、遺産分割調停の申立てを行い、裁判所にて話し合いを継続します。もちろん、すでに当事者間の話し合いを尽くしており、調停から弁護士に依頼したいというご要望も承っております。調停では、裁判所から求められている資料を提出し、依頼者様の事情を丁寧に調停委員に伝えます。弁護士は、調停でも依頼者様と同席することができるため、安心して手続に臨むことができるでしょう。

5.不動産登記や金融機関対応

遺産分割協議書作成後に、不動産の登記、金融機関への名義変更、税務申告などの手続も当事務所にお任せください。提携している司法書士や税理士とチームを組み、依頼者様の相続手続を最後までお手伝いいたします。

遺産分割は弁護士にお任せ

弁護士に依頼するメリット

  • 法律に基づいた公正で平等な遺産分割を実現することができる。
  • 他の相続人との交渉や事務手続をすべて弁護士に任せることができる。
  • 弁護士が調停や審判などの裁判所の手続に同席して状況に応じた適切な助言を得られる。
  • 金融機関や法務局に対する遺産分割後の手続もまとめて任せることができる。

費用

当事務所では、多くの法律事務所が採用している旧日弁連報酬基準に準じた報酬基準を採用しております。

遺産分割に関する初回相談料は「無料」で承っております

【経済的利益】【着手金】【報酬金】
300万円以下の場合33万円17.6%(又は33万円)
300万円を超え3000万円以下の場合5.5%+9万9千円11%+19万8千円
3000万円を超え3億円以下の場合3.3%+75万9千円6.6%+151万8千円
3億円を超える場合2.2%+405万9千円4.4%+811万8千円

* 特殊なご事情のあるご依頼には、別途お見積もりをさせていただきます。

* 着手金は委任契約時、報酬金は事件終了時にご請求いたします。

* 分割のご希望ある場合には、ご相談に応じます。

* 上記弁護士費用とは別に、手続に要する実費をご負担いただきます。

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