法定相続分とは何ですか?

法律で決められている各相続人が相続することのできる遺産全体に対する割合のことです。遺産全体に対して、「3分の1の相続分がある」などと表現します。

法定相続分はどのような基準で定められていますか?

法定相続分は被相続人との関係性(配偶者、子、親、兄弟姉妹など)に応じて定められています。また、同じ関係性の者が複数いる場合(子どもが3人など)には、それらの者の頭数で均等割りされることになります(民法900条4号)。

被相続人に子と配偶者がいる場合の法定相続分は?

子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1になります(民法900条1号)。そして、子が複数人いる場合には、2分の1の相続分を子の人数で均等割りします。例えば、配偶者に子3人が相続人の場合、配偶者の相続分は2分の1、子の相続分は各自6分の1(2分の1×3分の1)になるということです。

被相続人に配偶者と直系尊属(両親などの上の世代)がいる場合の法定相続分は?

配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は3分の2、直系尊属の相続分は3分の1になります(民法900条2号)。例えば、配偶者と両親が相続人の場合、配偶者の相続分は3分の2、父の相続分は6分の1、母の相続分は6分の1(3分の1×2分の1)になるということです。

被相続人に配偶者と兄弟姉妹がいる場合の法定相続分は?

配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1になります(民法900条3号)。例えば、配偶者と妹3人が相続分の場合、配偶者の相続分は4分の3、妹の相続分は各自12分の1(4分の1×3分の1)になるということです。

被相続人の子が既に死亡していた場合の法定相続分は?

被相続人に3人の子(長男、次男、三男)がおり、被相続人死亡時に長男が既に死亡していたものの長男に子(被相続人から見れば孫)が2人いる場合、長男の相続人としての地位をその子が引き継ぎます。これを「代襲相続」といいます(民法901条1項)。この例の場合、長男の子の相続分は各自6分の1(長男の相続分3分の1×均等割り2分の1)、次男の相続分3分の1、三男の相続分3分の1になります。

婚外子(非嫡出子)の相続分は?

婚外子(非嫡出子)の相続分は婚内子(嫡出子)の相続分と同じです。なお、以前は婚外子の相続分が婚内子の相続分の2分の1とされておりましたが、それを憲法違反とする最高裁判例が出され、法律が改正されたという経緯があります。古い書籍などでは法改正前の記述が残っている可能性がありますので注意しましょう。