遺産分割とは何ですか?

遺産分割とは、相続によって共有状態となっている財産の帰属先を決める手続です。民法907条1項には「共同相続人は、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる」と定められているとおり、期間の制限なく、いつでも遺産分割をすることが可能です。

遺産分割前に確認すべきことは何ですか?

遺産分割を行う前に、相続人の範囲、遺産の範囲、遺産の評価額、特別受益や寄与分の有無、遺言書の有無などを確認しておく必要があります。相続人の範囲は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取ることで調べることができます。また、遺産の範囲や評価額は、被相続人の遺品を調べるとともに、役場の名寄帳(固定資産課税台帳)や金融機関などで調べることができます。

遺産分割はどのように行いますか?

遺産分割は、原則として、共同相続人による話し合いによって行います。民法906条には「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」との記載がありますが、これは分割のための基準を示した条文に過ぎず、共同相続人全員の合意があればどのような分割の方法であっても有効です。他方で、共同相続人の一人でも合意をしない場合には、話し合いによる遺産分割の手続はできません。そのような場合には、家庭裁判所に対して遺産分割調停の申立てをすることで解決が可能です。

遺産分割協議書とは何ですか?

遺産分割に関して共同相続人間で合意に達したことを証明するために作成する書面のことを「遺産分割協議書」といいます。遺産分割協議の内容を記載し、共同相続人全員の署名捺印することで完成します。遺産に不動産が含まれる場合には、登記の際に「相続を証する書面」として使うために、捺印を実印にて行い印鑑証明書を添付するのがよいでしょう。

遺産の分け方にはどのような方法がありますか?

一般的には、現物分割、換価分割、代償分割の3つの分け方があります。現物分割とは、遺産を構成しているそれぞれの財産を、形を変えることなくそのまま各共同相続人に分配することをいいます。もっとも一般的な分け方といえるでしょう。次に、換価分割とは、遺産を売却するなどして金銭に換価し、その価値を分割する方法です。現物分割が不可能な場合や、相続分の比率を調整するために利用されることがあります。最後に、代償分割とは、遺産の現物は共同相続人の中の特定の者に取得させ、その取得者に現物を取得しなかった他の共同相続人に対する金銭交付をさせる方法です。例えば、被相続人3名が共同相続人である場合、長男に実家である土地建物を相続させ、長女や二男には遺産である不動産の評価額に同人らの法定相続分(各3分の1)を乗じた金銭を長男が支払うというものです。遺産に属する財産が少ない場合や、特定の人物に取得させたい場合などに利用されます。